奈良を紐解き、奈良を創るホテル『セトレならまち』
- 南都八景の1つ、猿沢池の畔に12月5日セトレならまちがグランドオープンします。今回は5店舗目となるセトレ。セトレは、ホテルのある地域の宝物を発掘し、ホテルを通してその魅力をお客さまに発信してまいりました。今回の舞台は日本で初めて都が生まれた奈良。様々な文化が到来し 独自の文化を開花させ、後の日本の礎となったこの場所で、ここにしかない歴史・自然・文化・食・芸術を堪能でき、これからの奈良の未来へつなげていく取組みをしてまいります。今回は3つのプロジェクトを計画中です。
地域資源を発掘・発信し、人とのつながりを大切にしている会社です
- 今回『セトレならまち』を手掛けるのは、株式会社ホロニックです。関西を中心にコミュニティホテル『セトレ』というブランドで5店舗運営しています。ホテルセトレ神戸舞子・セトレハイランドヴィラ姫路・セトレマリーナびわ湖・セトレグラバーズハウス長崎・・・そして今回奈良に『セトレ』が誕生します。地域の人と一緒に、各地域の資源や歴史・文化や人など、地域に眠っている宝物を探し、ホテルを利用する方々へ実際使っていただいたり、食べていただいたり、見ていただいたりし触れていただくことで魅力を知っていただき、地域を盛り上げていくお手伝いをしております。どのホテルも客室10室~20室程度の小さなホテル。建築や家具に県産材を使用したり、過ごしの空間があり本を読んだりお酒を楽しんだり・・その地域にしかないものに囲まれたホテルで心も身体もリセットしていただける、そんなホテルを運営しております。
ProjectⅠ 奈良職人の技術を未来へ『匠室 - マイスタールーム -』
- ホテルの中に、奈良の伝統産業や地場産業の職人やアーティストの技術や生き様を体感頂ける部屋を作ります。その場所を、職人の想いや技術が集結したお部屋『匠室 - マイスタールーム -』と名付けました。ご宿泊された方や、地域の方など・・ワークショップをはじめとして単に体感体験いただけるだけではなく、職人との交流や工房のフィールドワークなどをご用意し、奈良の伝統をリアルに感じていただき、後世へ技術をつないでいくお手伝いができればと考えております。
匠室の障子『吉野の手漉き和紙』
- 六代目 福西 正行氏
匠室障子の和紙については、福西和紙本舗の福西さまに手掛けていただきました。福西和紙本舗は伝統的な宇陀紙製作技術を継承しながら、現在に必要とされる和紙を作り続けています。4代目福西虎一5代目福西弘行が研究した「木灰煮熟」についてさらに研鑽し、また「楮」の栽培を始めとしたすべての工程において伝統的な宇陀紙製作の技術を頑なに守ることにより、使いやすい高品質な和紙を生み出しています。現在、国宝や重要文化財の修復・ヨーロッパの文化財の修復にも利用されるほか、国内外の芸術家にも利用されております。
匠室の畳
- 創業300年 浜田畳店 十四代目 浜田 賢司氏
江戸時代中期より吉野で畳の製造販売をする浜田畳店の畳を使用しております。十四代目の浜田賢司氏は、京都での修業時代には歴史的かつ最も優れた技術である手縫い技術を学び、京都御所や二条城など宮内庁の仕事を経験。現在も社寺仏閣の畳の修繕他、その知識と伝統技術を日本中の多くの若者に伝えるべく継承活動を進めております。手縫いの素晴らしい技術を実際の目でみて、その素晴らしさを感じてみてください。 匠室の木材
- 代表取締役社長 徳田 浩氏
徳田銘木は日本三大美林に数えられる優良木材供給地である奈良県吉野地域の銘木商・銘木屋です。耐久性や強さ、美しい艶を特長とする吉野杉・吉野桧などの良材をはじめ、他では手に入らない変木・自然木の製造販売を手がけています。今回は、匠室の屋根部分を杉の皮を使って手掛けていただきました。 匠室の土壁
- 代表取締役 井上 雄二氏
日本の伝統技術「左官」の継承を通じて、地域社会の発展に貢献したいという想いのもと、奈良に根付いて伝統技術を守り続けている左官職人様に手掛けていただきました。匠室の土壁は、奈良の天理と月ヶ瀬の土とセメントを混ぜたものを使用しております。
滋賀県立大学の学生さんが完成させる匠室
- 奈良のほんものの素材が揃ったのち、12月1~2日に芦澤建築事務所 芦澤竜一氏・滋賀県立大学環境建築デザイン学科陶器浩一教授の研究所に所属する学生さんの手で立ち上げる予定です。ご宿泊いただきましたお客様には、匠室で実際の技術に見て触れていただくだけでなく、写経など奈良だからこそ感じられる伝統工芸を体感していただけるアクティビティをご用意。匠室での体験を通して、奈良の伝統工芸の魅力を感じていただきたいと思っております。
設計 : 芦澤竜一建築設計事務所 + 滋賀県立大学 芦澤竜一研究室
構造設計 :陶器浩一+tmsd 萬田隆構造設計事務所
施工:株式会社 渋谷+ワイズ+滋賀県立大学陶器浩一研究室+芦澤竜一研究室 ProjectⅡ 百年杉木桶の酒造り復活『セトレオリジナル日本酒』
- 江戸時代に隆盛をきわめた吉野杉の木桶。そこには吉野杉を使う意味があります。現代においてその意味や良さを再確認していただき、吉野の百年杉で作られた木桶で作る酒造りを通じて吉野を感じていただくため、奈良吉野に根付いてお酒を造っている美吉野醸造さんと一緒にセトレオリジナルの日本酒を作ります。吉野の気候にあわせてつくられたお酒をレストランで提供し、奈良の自然が生み出した味を味わっていただくプロジェクトです。原材料のお米は、奈良県内の生産者との契約栽培の酒米のみで醸す、奈良にこだわる『美吉野醸造』さんと共に歩んでまいります。
原材料のお米から奈良にこだわる『美吉野醸造』さんと共に
- 今回ご一緒にセトレオリジナル日本酒を手掛けてくださるのは『美吉野醸造株式会社』さま。原料であるお米は地元農家さんとの連携を深め、奈良でできた契約生産者ごとの酒米の特徴にあわせ、最大限の美味しさを引き出すよう手造りによる風土に寄り添う丹精込めたお酒造りをされている蔵元さんです。
失いつつある杉桶での酒造り
- 昔は造り酒屋が木桶でお酒を仕込み、数十年使ったあとにその桶を使って醤油や味噌を作るために使われてきました。ただ木桶というのは、温度管理ができず手間もかかるため現代主流の吟醸仕込みのような純粋培養の考え方にそぐわないため、今や殆ど使われておらず、また木桶を作る技術を持った木桶職人も少なくなりその酒造りが途絶えようとしています。そこで、美吉野醸造さんと一緒に『セトレオリジナル日本酒』を木桶で仕込むことに。奈良吉野の自然の温度に合わせて造られたお酒は、一見辛口で個性が強い味ですが、時間の流れと共に変化を楽しめ、どこか優しさを感じる木桶でしか出せない味に仕上がります。
吉野杉だからこそできる木桶の酒造り
- 香りが穏やかで、木自体は淡い色合いで、節がない奈良吉野の吉野杉、その特徴のおかげでお酒との相性がよく木桶には、樹齢約百年の物を選抜した『百年杉』(百年杉という杉材の名称は実際にはありません、樹齢百年の物を木桶に使われてきたのでお酒にそう命名しました。)が使われてきました。『百年杉』の木桶で作られたお酒は、色がほとんど出ず、ほどよく杉の香りがあり、木のぬくもりを感じるお酒となります。百年杉のお酒が造られる木桶と同じ百年杉で、レストランのテーブルを特別に作ります。そのテーブルで、他の木とは違う綺麗な木目を感じながら、セトレならまちのディナー時にお料理と合わせ、お酒をお楽しみいただく予定にしております。
奈良の思い出に…
- ディナーでお召し上がりいただくだけでなく、チケット20,000円コース以上についてはお土産に4合瓶を1本プレゼント。時間をかけて味が変化するこのお酒は、すぐに飲まず少しずつお楽しみいただくことをお勧めします。ご自宅に戻られたあとも、奈良を思い出しながら余韻に浸っていただければ嬉しいです。
ProjectⅢ 奈良の伝統に出逢う旅『aeru room - 第三話 -』
奈良の素材や職人技で作り上げる『aeru room』
- 『aeru room』は、株式会社和(あ)えるさんが各地で展開する、それぞれの地域の素材や職人技を活かしたお部屋。株式会社和えるは、「日本の伝統を次世代につなぎたい」という想いのもと、“先人の智慧” と “今を生きる私たちの感性や感覚” を和えた、豊かな暮らしを提案している会社です。『aeru room』第一話は、セトレグラバーズハウス長崎に、第二話はセトレハイランドヴィラ姫路に、それぞれ一室限定のお部屋を作ってまいりました。今回セトレならまちに、奈良の伝統を体感できるお部屋として、『aeru room』第三話が誕生します。
aeru room 第三話 〜 “お庭に泊まる” 大和の心を感じるお部屋 〜
- 奈良の歴史や文化を紐解き、職人とともに作り上げたお部屋です。今から1300年以上前、日本が「日本」と呼ばれるようになった頃、都は奈良にありました。その当時から受け継がれているのが、奈良の町から感じる穏やかでやさしい空気なのかもしれません。そんな穏やかに私たちを包み込んでくれるような大和の心をお部屋で感じていただけるよう、室内にお庭を作り、人の暮らしと自然が調和した空間を作りました。
奈良の素材や職人技を活かしたお部屋づくり
- お部屋には、様々な奈良の素材や職人技を取り入れております。例えば天井には、吉野の山で長い歳月をかけて育まれ、大切に丁寧に剥がれた杉皮を使用。お庭の部分には奈良の十津川石を使用し、庭師さんが一つひとつの形を見極めながら積み上げました。満月に見立てたライトが照らす、奈良の山並みを表現した土壁を眺めながら、心落ち着く穏やかな時間をお過ごしいただければと思います。
職人さんの手仕事に囲まれて過ごす、特別な一夜
- セトレならまちの全32室のうち、たった1室しかない貴重なお部屋。今回は、45,000円のチケットでご宿泊いただけるようにいたしました。奈良で受け継がれてきた魅力を、ホテルのお部屋という空間で表現した『aeru room』。奈良を初めて訪れる方はもちろん、奈良を何度も訪れている方にも、新たな魅力と出逢う旅を楽しんでいただければと思います。地域の伝統や歴史、職人さんの手仕事、現代アートなどがお好きな方にもおすすめです。皆さまのお越しをお待ちしております。